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LHZuoteng 新分野への旅 (新领域之旅/新領域之旅/신 분야로의 여행)

让我们到新的领域!(外语、地理与历史、政治与经济 / Vocaloid) 等我地去新嘅領域去啦!(外文、地理與歷史、政治與經濟 / Vocaoid) 새로운 분야를 여행 가자!(외국어, 지리와 역사, 정치와 경제 / 보컬로이드)

IPA特集〜発音記号が読める〜#その3各子音の音

言語学 IPA:国際音声記号(発音記号)

こんにちは

你好。

안녕하세요.

 

Zuoteng です。

 

では、今日もいつかの話で少し登場した

 

IPA

 

について話したいと思います。(英語の発音に困っている方、必見です! )

 

 

IPAとは

International Phonetic Alphabet (国際音声学字母) の略称で、言語の音声を表すのに特化した表記法です。なお、今回の記事では注が無い限りIPA簡易表記とします。また、本来は/ /で囲ったものが簡易表記で、[ ]で囲ったものは精密表記ということになってるはずです。が、英語の参考書などはそんなこと気にしていないことがほとんどです。英語の参考書で[r]と書かれていても、ほぼ確実に[ɹ]のことです。/r/とかけばいいのに

 

IPAは一表記法なので、ひらがな、カタカナ、ローマ字のようなものです。

 

なぜこんなものが創られたかと言うと、『同じ文字でも言語ごとに異なる発音をする』という事が普通にあるからです。

 

例えば j という文字の持つ読みは、

 

英語では『ヂャ』

 

ドイツ語では『ヤ』

 

フランス語では『ジャ』

 

スペイン語では『ハ』

 

に近い発音です。

 

しかしIPAで /j/ と表すと、必ず『ヤ』の子音を表します。

 

では、各記号と表す音を音声の基礎を交えて解説します。

 

(以上前回,前々回分と同じような事を言いました。)

 

 

前回分の記事も合わせて参照して下さい。子音の仕組みについて解説しています。

 

 

lhzuoteng.hatenablog.jp

 

 

こちらは子音の基礎、仕組みを解説しています。

 

 各子音の紹介と解説

今回は、子音の具体例についてです。

 

f:id:LHZuoteng:20161025190100j:plain

 

↑子音の表。調音点が同じものが縦に、調音方法が同じものが横に並ぶ。同じマスにあるものは無声か有声かに関わる。

 

では、日本語と英語がもつ子音を軸に紹介していきます。

発音名の右の( )には、各音が使われる主な言語を載せました。

:日本語、:中国語(北方方言)、:広東語(南方中国語)、:韓国語、:英語、英英:イギリス英語、米英:アメリカ英語、:ドイツ語、:フランス語、:イタリア語、西:スペイン語:ロシア語、:ギリシャ

注:”英語のsの発音”、”英語のtの発音”、などの表現はあくまで一例であり、該当する文字又は発音すべてが表記の通りとは限ません。

 

両唇音

/p/ 無声-両唇-破裂(閉鎖)音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

特に気を付けることのない『パ行』の子音です。

 

/b/ 有声-両唇-破裂(閉鎖)音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

『バ行』の子音です。一度、しっかり口を閉じてから発音してください。

 

/m/ 有声-両唇-鼻音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

日本語の『マ行』、そして『マ行』『バ行』『パ行』の直前の『ン』の発音です。

英語ではmの発音です。

 

/ɸ/ 無声-両唇-摩擦音 (日,韓)

日本語の『ファ行』の音です。

/f/じゃないの? と思う方。英語の f の発音の説明を思い出してみてください。「日本語のファ行と同じ音」とは言われていないはずです。上記の通りこの音/ɸ/は、両唇音、つまり調音点(発音を行う点)が上下共に唇です。日本語の『ハ行』の子音に存在する三つの子音のうちのひとつです。

日本語の他にこの音を持つ言語は (特に日本でメジャーな外国語では) かなり少ないです。

英語の/hu//ɸu/の混同には気を付けてください。

 

歯唇音

/f/ 無声-歯唇-摩擦音 (中,広,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

これが英語などのf (ドイツ語ではvも) の発音です。/ɸ/とは逆に、上の歯と下の唇を使用することに気を付けてください。唇を噛んで発音する、ってやつです。

 

/v/ 有声-歯唇-摩擦音 (英,独,仏,伊,露,ギ)

英語、フランス語、イタリア語のv 、ドイツ語のw 、ロシア語などのв が該当します。

/f/ と同様に唇を噛んで、『ヴ』と発音してください。

ただし、スペイン語のv は/b/または/β/ (/ɸ/の有声音.『ワ』と『バ』の間の音に近い)です。

このブログでは、外国語のこの音をバ行で示すことは基本的にありません。

 

歯音・歯茎音

/t/ 無声-歯-破裂(閉鎖)音 無声-歯茎-破裂(閉鎖)音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

日本語の『タ』『テ』『ト』、英語の t の音です。

音の名前が二つあるのは、『歯の裏を使う/t/』と『歯茎を使う/t/』を区別する必要が、IPA簡易表記ではほぼない (両方を区別する言語がほぼ無い) ためです。IPA精密表記では補助記号で区別します。

 

/d/ 有声-歯-破裂(閉鎖)音 有声-歯茎-破裂(閉鎖)音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

日本語の『ダ』『デ』『ド』の子音、英語のdの音でもあります。

/d/に関わる話としては、現代ギリシャ語のΔ δ (デルタ. 転写はd) の発音が実は/d/ではなく後述の/ð/だということがあります。ギリシャ語での/d/の音は ντ (転写はnt) と綴ります。

 

/n/ 有声-歯-鼻音 有声-歯茎-鼻音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

日本語の『ナ行』(『ニ』は例外) の発音です。『タ行』『ダ行』『ザ行』『ナ行』の直前の『ン』の発音も/n/です。

英語のnの音でもあります。

 

/r/ 有声-歯茎-ふるえ音 有声歯茎はじき音 有声歯茎接近音 など (11/26訂正)

[r] 有声-歯茎-ふるえ音 (伊,西,露,ギなど)

[ɾ] 有声-歯茎-はじき音 (日,韓,米英,伊,西など)

[ɹ] 有声-歯茎-接近音 (英英)

[ɻ] 有声-反り舌接近音 (米英)

[ʀ] 有声-口蓋垂-ふるえ音 (独)

[ʁ] 有声-口蓋垂-摩擦音 (仏)

いつか話したように、rが示す発音というのは各言語ごとに異なり単一言語中のrの発音が複数ある、もしくは区別の必要があることは、スペイン語などを除き少ないため、簡易表記ではほとんどの言語のほとんどの辞典などで/r/と表記されます。

日本語の/r/は、精密表記で[ɾ]や[ɺ]とあらわされ、[ɾ]が有声歯茎はじき音[ɺ]が有声歯茎側面はじき音とよばれます。

ラララララと発音すると、一回目のラと二回目以降のラで発音(調音方法)が異なることを体感してもらえると思います。語頭と語中で発音が変化する日本語では、語頭の『ラ行』が[ɺ]語中の『ラ行』が[ɾ]となります。ラ、ラ、ラ、ラ、としっかり区切って発音しても子音が[ɽ]となります。

一方米国英語のrはと言うと、基本的には[ɻ]有声反り舌接近音です。舌を軽く反らせ、歯茎に近づけます(ただし接触させない)。慣れるまでは難しい発音なので、頑張って練習してみてください。反らせて触れないことがカギです。

また、英国英語では、[ɹ]有声歯茎接近音 であるので、同じく接触させないくらいに近づけて発音するのは変わりませんが、反らせず触れないことがアメリカ英語のrとの違いです。舌の形、位置は/z/にかなり近いです。

さらに米国英語では、母音間の-t-や-tt-の綴りなどが[ɾ]の発音になります。

例: water 英音[ˈwɔtə] 米音[ˈwɑɾɚ] better 英音[ˈbɜtə] 米音[ˈbɜɾɚ]

 

/θ/ 無声-歯-摩擦音 (英,西,ギ)

英語のthinkなどのthの音です。『サ行』の子音としてカナ表記されますが、上段の前歯と舌の先端で摩擦させます。舌先を軽く噛んで「スースースー」と発音していれば、なんとなく感覚がつかめると思います。[ɹ]と同様、英語は日本にも音声資料が多い上、小中高校と嫌でも英語を勉強させられ続ける勉強し続けることができるので、たくさん聞いてたくさん発音してみてください。

スペイン語(スペイン本土の)ではz,ci,ceの子音が/θ/です。

 

/ð/ 有声-歯-摩擦音 (英,西,ギ)

英語のtheなどのthの音です。『ザ行』の子音としてカナ表記されますが、上段の前歯と舌の先端で摩擦させます。舌先を軽く噛んで「ズーズーズー」と発音していれば、なんとなく感覚がつかめると思います。[ɹ],/θ/と同様音声資料がありふれているので、たくさん聴いてたくさん練習してください。

スペイン語では語中のdが/ð/となり、ギリシャ語のΔδ (転写d デルタ)も/ð/の発音です。

 

/s/ 無声-歯茎-摩擦音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

日本語の『サ』、『ス』、『セ』、『ソ』、そして英語のsの音です。日本語の『シ』の音はまた別になります(後述)。

 

/z/ 有声-歯茎-摩擦音 (日,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

日本語の『ザ』、『ズ』、『ゼ』、『ゾ』、そして英語のs,zの音です。日本語の『ジ』の音はまた別になります(後述)。

が、しかし、

外国語を学ぶ際に効いてくる日本語の『ザ行』に潜む罠に気付いている人はほとんどいないでしょう(そもそも気にする人もほとんどいないでしょう)

どういうことか、例によって実感していただきます。次の文を音読してみてください。

例文:ザーザーザー、ズーズーズー、ゼーゼーゼー、ゾーゾーゾー

文頭のザ、ズ、ゼ、ゾは、舌と歯茎が接触しているはずです。一方、二文字目、三文字目のザ、ズ、ゼ、ゾは、舌と歯茎が接触していないはずです(よほど丁寧に発音すれば別ですが)。

つまり、語頭の『ザ行』の子音は/dz/つまり有声破擦、一方語中の『ザ行』の子音は/z/つまり有声摩擦になります。例えば英語のzooを日本語話者は/d͡zuː/と発音しがちですが、正しくは/ˈzuː/です。/z//dz/の違いは、/s//ts/の違いにほぼ一致します。なのでzooの間違いは、sit /ˈsɪt/を/ˈt͡sɪt/と発音するようなものなんです。

正直なところ、学校の音楽の授業で英語やドイツ語の歌を歌った際、ドイツ語ならまだしも(いや、やっぱり許せないけど) 英語のtheを/za/ましてや/dza/と発音するのは聴いてて本当に心地よくなかった指摘してあげたくなりました(しませんでしたよ。コミュ障ですから)

このブログでは、外国語のこの音を、ザ,ズィ,ズ,ゼ,ゾなどで示します。

 

/t͜s/ 無声-歯茎-破擦音 (日,中,広,英,独,伊,露)

日本語の『ツ』の子音です。『ハ行』と同様に、『タ行』にも子音が三つあります。ウ以外の母音に/t͡s/を合わせると、『ツァ』『ツィ』『ツェ』『ツォ』となります。

英語では、語末が/t/で終わる名詞の複数形や、動詞の三人称単数形(cats,beatsなど)、そしてドイツ語やロシア語からの借入語(外来語)に限られます。また、借入語でも/t/や/s/などに変化することもあります。

 

/d͜z/ 有声-歯茎-破擦音 (日,中,広,伊)

日本語の『ザ行』『ヅ』の音ですが、/z/の項でも述べた通り、/d͡z/となるのは、語頭と『ン』『ッ』の直後などに限られます。

英語では、語末が/d/で終わる名詞の複数形や、動詞の三人称単数形(cards,readsなど)、そしてイタリア語などからの借入語(外来語)に限られます。また、借入語でも/z/などに変化することもあります。しかし、/z//d͜z/を区別しなければならない場合もあります。有名な例として、car(車)の複数形とcard(札)の複数形の区別があります。carsは/kɑːz/で、sは有声摩擦音、cardsは/kɑːd͜z/で、dsは有声破擦音です。

このブログでは、外国語のこの音を、ヅァ、ヅィ、ヅ、ヅェ、ヅォなどと表します。

 

/l/ 有声-歯茎-側面音 (中,広,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

日本語にこの音はありません。英語のrとlは、どちらも日本語に無いんです。

側面音というのは、調音点(この場合歯茎)に舌が触れたまま、舌の横に隙間を作り、その隙間から発声する音です。早い話、舌の先端だけを歯茎にくっ付けたまま声を出すだけです。

英語以外もほとんどの言語がこの音を持っている上、慣れてしまえばさほど難しくないのですが、英語教育上ではrの発音に立場を完全に奪われ、かなり適当に扱われることもあるので(思い込みだったら申し訳ありません)、/r/[ɹ]と/l/の区別というより[ɹ]と[ɾ]の区別になっている感があるので、よかったらlも練習してください。舌と歯茎を離すときは、やさしくそっと離してあげてください。

カナではrとlの区別は不可能なので、カナではラ行で示させていただき、IPAを共に載せます。

 

後部歯茎音

/ʃ/ 無声-後部歯茎-摩擦音 (英,独,仏,伊)

日本語の『シャ行』『シ』の子音、もしくは近い子音です。日本語、中国語、韓国語なんかの『シ』の音は、厳密には/ʃ/よりもう少し奥で発音される[ɕ]に近づくのですが、[ʃ]と[ɕ]を区別する言語はそう多くないので、/r/同様/ʃ/と簡易表記されることがほとんどです。

英語では、sh、ch、--ciaなどのc、--tionのtなど、複数の綴りで現れます。日本語の『シャ行』より若干前よりで発音するといいかもしれません。『シ』と『スィ』の中間より若干『シ』寄り、みたいな感じです。

 

/ʒ/ 有声-後部歯茎-摩擦音 (英,仏)

注:/z/と/dz/混同現象と同様の現象が発生しています。日本語話者の方は/dʒ/と混同しないよう厳重に注意してください。

日本語の『ジャ行』『ジ』の子音、もしくは近い子音です。日本語の『ジ』の音は、厳密には/ʒ/よりもう少し奥で発音される[ʑ]に近づくのですが、[ʒ]と[ʑ]を区別する言語はそう多くないので、/r/同様/ʒ/と簡易表記されることがほとんどです。

英語ではsiの綴りが/ʒ/の音になることがあります。日本語の『ジャ行』より若干前よりで発音するといいかもしれません。『ジ』と『ズィ』の中間より若干『ジ』寄り、みたいな感じです。ただし、/z/と同様に、絶対に舌と歯茎を接触させないでください。

このブログでは、/d͜ʒ/と区別して、ジャ、ジ、ジュ、ジェ、ジョと示します。

 

/t͜ʃ/ 無声-後部歯茎-破擦音 (英,独,伊,西)

日本語の『チャ行』『チ』の子音、もしくは近い子音です。日本語、中国語、韓国語なんかの『チ』の音は、厳密には/t͜ʃ/よりもう少し奥で発音される[t͜ɕ]に近づくのですが、[t͜ʃ]と[t͜ɕ]を区別する言語はそう多くないので、/r/などと同様に/t͜ʃ/と簡易表記されることがほとんどです。

英語ではchが表す音です。日本語の『チャ行』より若干前よりで発音するといいかもしれません。『チ』と『ツィ』の中間より若干『チ』寄り、みたいな感じです。

 

/d͜ʒ/ 有声-後部歯茎-破擦音 (英,伊)

注:/z/と/d͜z/混同現象と同様の現象が発生しています。日本語話者の方は/ʒ/と混同しないよう厳重に注意してください。

日本語の『ヂャ行』『ヂ』の子音、もしくは近い子音です。日本語、中国語、韓国語なんかの『ヂ』の音は、厳密には/d͜ʒ/よりもう少し奥で発音される[dʑ]に近づくのですが、[d͜ʒ]と[d͜ʑ]を区別する言語はそう多くないので、/r/などと同様に/d͜ʒ/と簡易表記されることがほとんどです。

英語では、日本語の『ヂャ行』より若干前よりで発音するといいかもしれません。『ヂ』と『ヅィ』の中間より若干『ヂ』寄り、みたいな感じです。ただし、/d͜z/と同様に、絶対に舌と歯茎を接触させてください。

このブログでは、/ʒ/と区別して、ヂャ、ヂ、ヂュ、ヂェ、ヂョと示します。

 

硬口蓋音

/ç/ 無声-硬口蓋-摩擦音 (日,韓,独)

日本語の『ヒ』『ヒャ行』の子音です。日本語の『ハ行』に存在する三つの子音のうちの一つです。çの字はフランス語などで/s/の音を表すので、なかなか慣れないとは思いますが、IPAでcに補助記号がついたもの、[c][ɕ][ç]などは全て、硬口蓋もしくは硬口蓋の周辺で発音される音を示すので、関連させて覚えちゃってもいいかもしれません。

英語でこの発音は使いません。hit(打つ)やhe(彼)などの発音は /ç/ではなく/h/です。

 

/j/ 有声-硬口蓋-接近音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露)(ギ?)

『ヤ行』の子音です。発音自体は難しくないですが、注意すべきは記号です。/j/は『ヂャ行』の子音ではありません。ドイツ語でもjの名前はヂェイではなく、イェーです。jäger(イェーガー:狩人の意)

 

歯茎硬口蓋音

[ɕ] 無声‐歯茎硬口蓋‐摩擦音 (日,中,広,韓,露)

日本語の『シャ行』『シ』の子音です。[ʃ]と[ɕ]を区別する言語はそう多くないので、/r/同様/ʃ/と簡易表記されることがほとんどです。ただ、日本語で/ʃ/に近い音になる場合があります。体験してみましょう。例文を読んでみてください。

例文1:スーシースーシースーシー

例文2:ヒーシーヒーシーヒーシー

1と2を交互に読んでみると、シーの発音の位置、調音点が、例文1は若干前、歯茎寄りに、例文2は若干後ろ、硬口蓋寄りになってると思います。例文1のシーの子音が/ʃ/例文2のシーの音が[ɕ]となります。なかなかシビアな差ですが、体感していただけたでしょうか?

ロシア語のщが[ɕː]の発音になります。転写ではshchとされ、カナ転写でも『シチ』とされますが(ボルシチなど)、実際のロシア語では『シシー』とか『ッシー』のように発音されます。ボルッシー、みたいな感じですかね。

 

[ʑ] 有声-歯茎硬口蓋-摩擦音 (日)

日本語の語中の『ジ』『ジャ行』の音です。簡易表記では/ʒ/とされます。普段日本語で用いられているのですが、[ʒ]との違いを体感してみましょう。

例文1:ズージーズージーズージー

例文2:ヒージーヒージーヒージー

1のジーが、より[ʒ]に近い発音になります。2のジーは、まさしく[ʑ]です。[ʑ]の音自体は摩擦音なので、舌と口蓋を触れさせません。意図的に[d͜ʑ]と区別して発音する場合は気を付けましょう。

このブログではジャ、ジ、ジュ、ジェ、ジョと示します。

 

[t͜ɕ] 無声-歯茎硬口蓋-破擦音 (日,中,広,韓,露)

日本語の『チ』『チャ行』の子音です。簡易表記では/t͜ʃ/とされます。[tʃ]との違いを体感してみましょう。

1.スーチースーチースーチー

2.ヒーチーヒーチーヒーチー

どうでしょう。2の方が若干後ろで発音してませんか? 1.が[t͜ʃ]、2.が[t͜ɕ]となります。

 

[d͜ʑ] 有声-歯茎硬口蓋-破擦音 (日,中,広,韓)

日本語の語頭、『ン』の直後の『ヂ』『ヂャ』の音です。[ʑ]との区別を体感するのは難しいですが、[ɕ]と[t͜ɕ]の違いと全く同様の差です。

 

軟口蓋音

/k/ 無声-軟口蓋-破裂(閉鎖)音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露,ギ)

日本語では『カ行』の子音ですが、(他の行でもそうですが)『イ』の母音に付くと、口蓋化という現象が起こり、/ki/とは少しことなる/kʲi/という発音になります。

英語ではkの他、cがこの音になることがあります。

 

/g/ 有声-軟口蓋-破裂(閉鎖)音 (日,中,広,韓,英,独,仏,伊,西,露)(ギ?)

日本語の語頭の『ガ行』の子音です。スペイン語でも語頭のga, gu, goの子音です。どちらも語中では後述の/ɣ/になります。日本語の場合、/ŋ/になることもあります。

スペイン語の語頭のga, gu, goは、この/g/ですが、gi, geのgはまた別の/x/という音になります。

英語ではgがこの音にもなりますが、日本語やスペイン語のように語中や語末で/ɣ/になることは無いので、舌と口蓋をしっかり接触させて発音してください。

 

/ŋ/ 有声-軟口蓋-鼻音 (日,中,広,韓,英,ギ)

日本語では『ン』の直後の『ガ行』、そして『カ行』と『ガ行』の直前の『ン』がこの発音になります。(例:三回/saŋkai/のン、混合/koŋŋoː/のン、ゴの子音)『ン』の直後でなくても語中の『ガ行』の子音が全て/ŋ/になる場合も普通にあります。

英語では--ng, nkのnの音です。--ngは/ng/ではなく/ŋ/です。

/ŋ/に限らず鼻音全てに言えますが、中国語、広東語、韓国語などのアジア圏の/ŋ/は、英語などのヨーロッパ圏の/ŋ/とくらべて聞き分けづらい(アジア圏の鼻音は解放しない一方、ヨーロッパ圏は『ンヌ』『ンム』『ング』と聞こえるほどの解放がある)ため、アジア圏の言語を勉強される方は一つの壁となるかもしれません。ヨーロッパ圏でも速い会話だと解放されず、アジア圏の/ŋ/と似たような感じになります。

 

/ɣ/ 有声-軟口蓋-摩擦音 (日,西)(ギ?)

日本語の語中の『ガ行』、スペイン語の語中のga, gu, goのgの発音です。例によって語中でもgi, geの子音は/x/です。

英語などではこの音はありません。よって、英語の語中のgを/ɣ/と発音しないように気を付けてください。

 

口蓋垂

/ɴ/ 有声-口蓋垂-鼻音 (日)

『ン』

ただし、続く子音が接近音や無声摩擦音、/s/,/ɕ/,/h/,/ç/,/ɸ/,/j/,/w/もしくは子音の無い(とも、実はあるともいわれる)『ア行』である場合の『ン』の発音です。

 

声門音

/h/ 無声-声門-摩擦音 (日,韓,英,独)

『ハ行』が持つ三つの子音のうちの一つ、『ハ』『ヘ』『ホ』の子音です。『ヒ』では[ç]、『フ』では[ɸ]となってしまうため、英語などを発音する際に誤発音が起こります

英語の発音では、簡易表記が/hi/、/hu/であれば、精密表記にしても[hi]、[hu]です。[ha]や[ho]と同じ場所(声門)で摩擦を起こさなくてはなりません。また、この事実は多くの小学校、中学校、高等学校で最高機密事項として扱われ、英語教育において/r/や/θ/に埋もれている上、たぶん大学でも言語学科にでも行かない限り機密は解かれないので、ほぼすべての方がこの重大な事実を微塵にも気にかけてなんかいないに気づいてはいないと思われます。

もしよかったら、hitやhe、hookなどを発音するときに気にかけてみてください。でないと[hi]や[hu]は/l/をはるかに超えるひどい扱いを受けることになってしまいます。

 

両唇軟口蓋音

[ʍ] 無声-両唇軟口蓋-摩擦音 (米英)

英語で5W1Hってありますよね。what(何), where(どこ), when(いつ), who(誰), why(なぜ), how(どうやって) の6つの疑問詞の総称ですが、これらの疑問詞のうち、5Wの発音について疑問を持ったことはありませんか? whatは『ワット』なのか『ホワット』なのか、whereは『ウェア』なのか『ホウェア』なのか、whyは『ワイ』なのか『ホワイ』なのか。

じつはこの答えは、米国では『ホ』が付くことが多い、ということなのです。この米国でのwhの発音、簡易表記で/hw/で表される音こそ[ʍ]なのです。

 

/w/ 有声-両唇軟口蓋-接近音 (日,中,広,韓,英)

『ワ行』の子音に似ていますが、音の名前に注目。両唇軟口蓋とあります。[w]は調音点が複数ある音の一つで、本来は/p/で接触させる点を接近させると同時に、/k/で接触させる点も同時にそれぞれ接近させるのが本来の[w]だといえます。

ドイツ語のwは/v/(精密表記[ʋ])と発音されるので、厳密には/w/はありません。

ロマンス諸語(イタリア語、スペイン語、フランス語など)はwをもちませんが、--uaなどが二重母音で/ʊa/などになるので『ワ』と聞こえる音はあります。

日本語、中国語、韓国語などでの/w/は、精密表記で[β̞]と表します。読み方はそのまんま『ワ』の子音です。

 

 あとがき

以上とてもとても長くなりましたが、日本語と英語に現れる音を中心に各国語の音も紹介させていただきました。

 

現代では電子辞書、及びインターネット翻訳とそれに伴う自動読み上げ機能によって、発音記号が読めなくても何とかなってしまう時代になっています(そんな時代に生まれた僕ですが)。

 

しかし、発音記号が読めると、そして各記号が表す意味(というか音)がわかるようになると、より正しく音声を理解でき、より正しく音を伝え合うことができるようになります。/l/や/h/の件もありますし。

 

そんなわけで、ぜひ学生さんたち、外国語学習者さんたちの間でもIPAの有効さと奥深さを共有していただけたら幸いです。

 

次回のブログ更新、次回の言語学講義までは少し時間を空けますが、次の言語学講義は日本語でも英語でも使われない音を紹介します。アルファベットのうち、今まで登場しなかった/c/, /q/, /x/, /y/などを紹介します。お楽しみに。

 

参考文献

 

改訂 音声学入門

改訂 音声学入門

 

 

速読英単語1必修編[改訂第6版]

速読英単語1必修編[改訂第6版]

 

 

 

では、このあたりで。

再见。

안녕히 계세요.

 

2016/10/29 自宅のパソコン前にて