Sugarlukke's blog

音楽制作や周辺機器に関する話など Story about music creation and more.

-作曲入門- #1 DTMで使うメーター、全て解説します。

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こんにちは、Sugarlukke*1です。

 

今回は、楽曲や音声作品を制作するにあたって用いる様々なメーターの役割と使いどころをお伝えします。

 

今回の記事で扱うDAWソフトは、Studio One 5 Professional (PreSonus) です。

 

 

この記事内容の解説動画

youtu.be

 

音源を作っていると、小さなノイズが入っていることに気が付いたり、各パートのバランスが適切かどうか不安になることも多いと思います。


問題のある部分がどこなのか聞いて解れば良いのですが、耳だけで様々な問題を修正するにはかなりの経験と慣れが必要ですし、リスニング環境が変化した場合それを考えた上で聞き取る必要があります。

 

こういった場合に各種メーターを見ながら調整を行うことで耳と目で音の状態を確認し客観的な基準と照らし合わせることで、より簡単かつスピーディーに調整を行えます。

 

今回は、DTMで用いるメーターを使用目的によって4つのグループに分けて解説していきます。

 

1. 音量に関するメーター
2. 周波数に関するメーター
3. ステレオ感に関するメーター
4. 波形に関するメーター

 

以上の4つです。

 

 

音量に関するメーター

 

一口に"音量"といっても、どういった基準で音量を表すかによって様々なメーターがあります。

今回は、基準と用途が異なる4種類を紹介します。

 

 

ピークメーター

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ピークプログラムメーター

 

DAWソフトのミキサー画面を開くと、各チャンネルの音量を操作するボリュームフェイダーと並んで縦棒型のメーターが見えると思います。

これが、音量を表すメーターの中で最も頻繁に用いられる、ピークプログラムメーター、通称ピークメーターです。

 

このピークメーターでは、音の波形の振れ幅をリアルタイムで表示することで、音の大きさを表します。

ピークメーターを使う最大の利点と目的は、今回紹介する音量系メーターの中で唯一、音声の最大値を正確に測ることができると言う点に尽きます。

 

DAWソフト上で行うデジタル音声処理では、最終的な出音が"0dB*2"を少しでも超えると、"デジタルクリッピング"と呼ばれる音割れが起こります。

この音割れを回避するため、マスターチャンネルのボリュームが0dBを超えていないかをピークメーターで確認しつつミックスを進めていく必要があります。

 

ピークメーターの使いどころとして、0dBを超えないよう音量を抑えるリミッターと合わせて使用する、といった場合が挙げられます。

コンプレッサーやリミッターなどの音量を操作するプラグインを始め、様々なエフェクターに内蔵されていることも多いメーターです。

 

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コンプレッサー。青い縦棒型のメーターがピークメーター。

 

 

VUメーター

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VUメーター

 

しかしピークメーターは、厳密なピークを測るために反応速度がとても速く、人間の音の聞こえ方と必ずしも一致しません。

そこで用いるのがVUメーターです。


音の大きさに対し厳密に反応するピークメーターとは反対に、音量の変化に対して数ミリ秒の遅れを伴って反応します。

このわずかな反応の遅れによって、人間の聞こえ方に極めて近い音量を表すのがVUメーターです。

 

VUメーターの場合、瞬間的な大きい音への反応が鈍いため、数値上の音量はピークメーターよりかなり小さくなります。そのため、表示上の0をどのぐらいの大きさにするか調整できるものが多いです。

例えば上記のVUメーターの場合、右下のSCALEで調整可能です。SCALEが0の時に-10dBを指していた場合、SCALEを6にすると-4dBまで表示が上がり、音量変化が見やすくなります。

 

 

K-Systemメーター

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K-Systemメーター

 

VUメーターの他に使われるメーターとして、K-Systemメーターと言うものがあります。

 

これは、音圧競争と呼ばれる風潮に対抗して作られたもので、マキシマイザーやリミッターを使って音圧を上げた結果、失われてしまう抑揚を確保しておくための指標とされます。


K-Systemのメーターは3種類あり、それぞれ0dB以上の余裕の大きさから "K20"、 "K14"、 "K12" と呼びます。

例えばK20の場合、0dBより上に20dB分の余裕があります。


楽曲のジャンルによって使い分ける方法もありますが私の場合、ミキシングの段階ではK20を用いて音量の余裕を残しておき、マスタリングでK14を使用しています。

3つ全てに共通する使い方として、楽曲のうち静かな部分は緑~黄色、サビなどの盛り上がる部分で黄色~赤になるよう音量を調整しています。

 

 

ラウドネスメーター

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ラウドネスメーター R128

 

音量系メーターの最後、ラウドネスメーターにはいくつかの規格や基準があるのですが、よく用いられるのはLUFSという単位です。

このラウドネスは、今まで紹介したメーターと異なる部分が多いので、少しだけ注意が必要です。

 

他のメーターが音の大きさをリアルタイムで反映するのに対し、ラウドネスメーターは音源全体での音量を測るという点です。

このメーターで最も重要な数値がINTIntegratedと呼ばれるものです。これが再生した音源全体のラウドネスを示します。

また、放送関係の音声基準では、音源全体のIntegratedに加え、他のメーターに似たリアルタイムでのラウドネスであるShort-Termラウドネスにも基準があります。

 

楽曲制作に関して身近な基準を挙げると、YouTubeに投稿する楽曲の基準ラウドネス-14 LUFSニコニコ動画の場合は -15 LUFS を基準に、投稿された各楽曲の音量が自動で揃えられています。

そのためこれらのラウドネスに合わせた音源にしてから投稿することで、意図しない音量調整を最小限にすることができます。

楽曲ではなく、会話が主体の場合、-19 ~ -18 LUFS が適切な音量感だとも言われています。

 

 

周波数に関するメーター

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スペクトラムメーター

 

周波数と言われても少しイメージがしずらいかもしれませんが、音階・音域をビジュアル化できるものだとお考えください。

周波数系のメーターにもいくつか種類があるのですが、音量系のように根本的な仕組みが異なるということはないです。

 

ほとんどのタイプに共通する見方として、横方向は左から右に向かい、低い音域から高い音域を表します。

縦方向は、各音域の音量を表します。これによって、どの周波数帯でどのぐらいの大きさの音が出ているかを見ることができます。

 

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低音域 ← 音階の特定 → 高音域

 

例えばこのように、1オクターブを12個に分割して表示するタイプの場合、つまり各半音ごとに音量が表示されるタイプの場合、音階がわからないサンプルなどに対して使うことで、音階の特定に活用することができます。

 

今回のサンプルの場合、最も大きく出ている部分から右に G#2、G#3、D#4、G#4...と、いくつかのピークが現れています。

ほとんどの場合音階は一番大きく出ている音、もしくは最も低い音になります。今回の場合はG#2がこのサンプルの音階だということになります。

ちなみにG#2以上の G#3、D#4、G#4などは "倍音" と呼ばれ、音の音色を決める重要な要素になります。

 

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FFT曲線タイプ

 

その他、FFTと呼ばれるタイプのメーターは、イコライザーなどのプラグインに内蔵されていることが多く、処理したい具体的な周波数が細かく読み取れるようになっています。

 

 

ステレオ感に関するメーター

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フェイズメーター

 

次のメーターはステレオ感、すなわち音の位置や左右の広がりを見るためのメーターです。


今回使用するステレオメーターは音の広がりに合わせて上下左右に広がるメーターですが、注目すべきは上半分で、下半分が無い半円型のものもあります。

 

メーターの周囲には左から時計回りに、+S、L、M、R、-Sとあります。

真ん中のMは Mid のことで、丁度正面に位置している音を示します。モノラルの音源を流すと全ての音がここに集中します。左右の広がりが全く無くなっている状態です。

Mの左右、斜め45度にあるLとRは、そのまま LeftRight 、左と右に位置している音を表します。左のみでなっている音が左斜め45度、右のみでなっている音が右斜め45度で表示されます。

LとRのさらに外側の+Sと-Sですが、これは中心に位置している音、すなわちMidに対して両サイドでのみなっている音を表します。

 

斜め45度のLとRより外側に位置している音は、ステレオ音源に広がりを与える効果がある一方、モノラル再生した時に一切聞こえなくなります

 

メーターの下の部分で左右に動いているのが Correlationメーターといって、Midの成分が多くなるほど+1に近く、Sideの成分が多くなるほど-1に近くなります。

横向きの場合は右が+1になるので、モノラル音源など左右の広がりが少ないとメーターが右に振れます。

ステレオ音源の場合、+0.4 ~ +0.8あたりで収まるようにステレオ感を調整すると良いでしょう。

 

 

波形に関するメーター

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オシロスコープ

 

今回最後に紹介するメーターが、波形に関するメーター、オシロスコープです。

オーディオトラックの場合、トラック上に音の波形が表示されますが、これをリアルタイムで表示するものとなっています。

 

オーディオトラック上の波形と違い、エフェクターをかけた後の波形や複数のパートを合わせた音の波形を見ることができます。

また、シンセサイザーをはじめとしたインストゥルメントトラックの波形を確認することもできます。

 

 

おわりに

以上、音源制作で用いる様々なメーターでした。

これらのメーターは各DAWソフトに付属しているもの、プラグインとして販売・配布されているもの、他のエフェクターやシンセの一部として存在しているものなど様々です。

 

これらのメーターをうまく活用することで、耳だけに頼らない音作りやミックス・マスタリングができます。

また、レコーディング時の適正音量やコンプレッサーのかかり具合など、メーターを確認しながら調整すべき作業は少なくありません。

 

今後の解説記事では、よりわかりやすい内容を目指すために各メーターを用いたビジュアルな解説も多く取り入れていくつもりです。

見やすい説明を目指した結果メーターの意味がわからない、といったことを回避するためにも早めにメーター解説回を設けることにしました。

 

私、Sugarlukkeは、YouTube や ニコニコ動画Bilibili動画に "ボカロEDM" を中心としたオリジナル曲を投稿している他、今後はこのような楽曲制作解説記事・動画を多数投稿していく予定です。

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それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

 

前回の記事

 

lhzuoteng.hatenablog.jp

 

*1:2021/8/1: LNGより変更

*2:厳密には0dBFS